劇場版「SHIROBAKO」の感想とネタバレ

劇場版「SHIROBAKO」鑑賞終了。

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劇場版「SHIROBAKO」の見どころ

・リアリティーを追求したストーリー

・宮森あおいとミムジーとロロのミュージカルシーン

・アニメ「SHIROBAKO」の第23話、木下監督のあるシーンのオマージュ

・空中強襲揚陸艦SIVAの本編と完成するまでの軌跡

劇場版「SHIROBAKO」の登場人物

主要人物(元・上山高校アニメーション同好会)

宮森 あおい(CV:木村珠莉)

本作の主人公。武蔵野アニメーションに所属。明朗快活でいつもの前向きの性格。ドライビングテクニックの持ち主。ムサニの復活をかけた劇場用アニメ「空中強襲揚陸艦SIVA」ではラインプロディーサーとして奔走する。

安原絵麻(CV:佳村はるか)

武蔵野アニメーション所属の真面目で勤勉だが少し引っ込み思案のアニメーター。キャリア1年半で原画担当へ昇格。「第三飛行少女隊」は作画監督補佐に抜擢され、「タイマス事変」のあとムサニを離れる。現在は作画監督を務めるほどの腕前がある。

坂木しずか(CV:千菅春香)

赤鬼プロダクション所属のいつも元気で努力家な声優。「第三飛行少女隊」では新人でありながらキャサリンの妹に抜擢された。現在は知名度も上がり、写真集を出版。だが、声優以外の仕事も多くなり「このままでいいの?」と自問自答することも。

藤堂美沙(CV:髙野麻美)

3Dクリエイター。あおいたちの1年後輩。CG制作会社スーパーメディア・クリエイションズに入社、翌年にスタジオカナブンへ移籍している。「第三飛行少女隊」では3Dスタッフとして参加する。現在は後輩に指導する立場があるが、彼らの仕事に対する向き合い方などの違いに戸惑うことも。

今井みどり(CV:大和田仁美)

あおいたちの2年後輩。好奇心旺盛で好きなことに関してはとことん調査・追求し、のめりこんでいく性格で、あおいを手伝ったことがきっかけで「第三飛行少女隊」の設定制作の仕事を任される。ベテラン脚本家である舞茸しめじを師匠と仰ぎ、現在は脚本家として活躍中。


武蔵野アニメーション

・渡辺隼(CV:松風雅也)

元々はラインプロデューサーだったが、「タイマス事変」後、丸川の跡を継いで社長になる。麻雀好きで葛城とは麻雀仲間。

・興津由佳(CV:中原麻衣)

総務担当のクールビューティー。「タイマス事変」のあとは非常勤でムサニをサポートしている。

・佐藤沙羅(CV:米澤円)

ムサニ所属の制作進行で「第三飛行少女隊」制作時に入社。あおいの後輩であり、高橋の先輩。

・高橋球児(CV:田丸篤志)

ムサニ所属の制作進行であおいの後輩。アニメ好きで知識が豊富。太郎に似ていると言われることも。

・矢野エリカ(CV:山岡ゆり)

制作進行。あおいたちの先輩で「えくそだすっ!」制作時に病状が悪化した父親を看病するために実家に戻る。

・杉江茂(CV:小柳基)

年配のベテランアニメーター。武蔵野アニメーション内では最古参にあたる大ベテランで、前身の武蔵野動画時代から在籍している。

・下柳雄一郎(CV:間島淳司)

3D監督。厚な性格で人当たりもよく、チーフとして武蔵野アニメーション3D班を纏めている。

・佐倉良樹(CV:高梨謙吾)

武蔵野アニメーション所属で「えくそだすっ!」撮影監督。

・堂本 知恵美(CV:伊藤静)

武蔵野アニメーション所属で動画検査。中学生になる息子を持つ母親。

・新川奈緒(CV:日野まり)

色指定・検査を担当でカットに対して色を決め込んでいき、その指示をする。また、指示通りに画が塗られているかの確認役も兼ねる。


社外スタッフ

・木下誠一(CV:檜山修之)

アニメーション監督。ムサニでは「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」を手掛ける。仕事に詰まると逃亡を謀る癖がある。

・山田昌志(CV:浜田賢二)

フリーランスで作画上がりの演出家だったが、現在はアニメーション監督として「Two Piece」などの手掛けている。

・円宏則(CV:斎藤寛仁)

フリーランスで撮影出身の演出家。デジタル方面に強く、デジタルコンテを描くことが出来るため、社内で重宝されている。

・遠藤亮介(CV:松本忍)

フリーランスのアニメーターで原画マン。既婚者で妻麻佑美と暮らしているが、「タイマス事変」のあと、体たらくな生活を送っている。

・瀬川美里(CV:山川琴美)

フリーランスの在宅アニメーター。「ビューティードリーマー」をきっかけにこの職業を目指すようになった。遠藤曰く「理詰めで作画をする」タイプ。

・木佐光秀(CV:菅原雅芳)

在宅アニメーターで原画マン。無責任に仕事を放棄することはないが、関係者の間では「木佐の『やってます』『あとちょっとです』は信用してはいけない」と有名。

葛城 剛太郎(CV:こぶしのぶゆき)

エスタンエンタテイメント所属のメーカープロデューサー。ムサニでは「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」を制作する。

・舞茸しめじ(CV:興津和幸)

シナリオライターで過去に、監督やメインライターが降板した作品をピンチヒッターとして立て直した実績がある。脚本家で活躍しているみどりの師匠。

・宮井楓(CV:佐倉綾音)

エスタンエンタテインメントに所属するアシスタントプロディーサで、同社のカツ阿木の部下である。「空中強襲揚陸艦SIVA」を前任のプロデューサー・池渕から引き継いで担当することになる。

 

武蔵野アニメーションに所属していたスタッフ

・丸川 正人(CV:高木渉)

武蔵野アニメーションの社長だったが、「タイマス事変」の責任を取って辞任している。現在は飲食店を経営している。

・本田豊(CV:西地修哉)

えくそだすっ!」担当の制作デスクだったが、「えくそだすっ!」完成後に退職。会社近くのケーキ屋「Ourrin(ウルリン)」でパティシエとして働いている。

・小笠原綸子(CV:茅野愛衣)

えくそだすっ!」キャラクターデザイン及び総作画監督。名実ともに武蔵野アニメーションの看板アニメーター。

・井口祐未(CV:沼倉愛美)

えくそだすっ!」制作時は総作画監督補。『第三飛行少女隊』制作時はキャラクターデザインに抜擢される。

・高梨太郎(CV:吉野裕行)

ムサニに所属していた制作進行。現在は演出としてバディを平岡と一緒金髪にモヒカンにアニメ制作会社に様々な企画を持ち込む。

・平岡大輔(CV:小林裕介)

アニメ制作会社を渡り歩く制作進行。「第三飛行少女隊」制作時にムサニに所属していたが、今は太郎と共にフリーランス。矢野とは専門学校の同期。

・安藤つばき(CV:葉山いくみ)

以前ムサニに所属していた制作進行で「第三飛行少女隊」制作時に入社。現在は別のアニメ制作会社に所属している。佐藤とは同期。

・久乃木愛(CV:井澤詩織)

非常に無口なアニメーター。以前はムサニに所属していたが、現在は絵麻と一緒に暮らしながら、フリーのアニメーターとして活躍している。

 

その他の登場人物

・ミムジー&ロロ(CV:木村珠莉)

あおいがいつも一緒にいる眼帯のファッションドール(ミムジー)と熊のぬいぐるみ(ロロ)。あおいが思い悩む時などに現れ、彼女の心の声を弁明する。

 

劇場版「SHIROBAKO」のネタバレ

前作から4年、アニメ「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」の制作を経て、プロデューサーとして成長した宮森あおいは、社長の渡辺隼に呼ばれ新企画の劇場用アニメーション「空中強襲揚陸艦SIVA」を任されることになります。
しかし、「空中強襲揚陸艦SIVA」が公開されるまで10ヶ月しかありませんでした。あおいは過酷な制作スケジュールだけではなく、現在の武蔵野アニメーションの現状に喘いでいました。

武蔵野アニメーション(以下、ムサニ)では、オリジナルアニメーション「タイムヒポポタマス」の制作が8話まで完成していましたが、キャラ原案を依頼していた会社の社長が交代と同時に金銭的に儲けることができないと判断して、一方的に契約を切られて制作中止となりました。社長の丸川正人は、ラインプロデューサーの渡辺に社長の座を譲り、退社していました。

あおいは"タイマス事変"のトラウマと「空中強襲揚陸艦SIVA」の一任の重圧に耐えかねて、丸川に相談をします。さらに丸川を社長に復帰させようとするも「けじめをつけてから」と断れます。

丸川はあおいにどうしてアニメを作りたいか聞くと「アニメが好きだから」と答えます。すると丸川は「自分が何を作りたいか分からないと挫折する」と語ります。

一方、メーカープロディーサーの葛城鋼太郎は、アニメ制作会社「げ~ぺ~う~」の社長の三崎芳雄と公開の1年前に絵コンテを提供すると約束していましたが、三崎は「あの予算で作れるものではない」と一蹴します。

ムサニでは、ウエスタンエンターテイメントから派遣された葛城の部下である宮井楓が訪れて「空中強襲揚陸艦SIVA」の制作を全面的に依頼します。

現在のところ「空中強襲揚陸艦SIVA」で決まっているのはタイトルだけでジャンルやストーリーは決まっていませんでした。そこで彼らはジャンルをSFに争点を当てていくとオリジナルアニメーション「タイムヒポポタマス」と作品が似ていました。そこでタイマスを活かして「空中強襲揚陸艦SIVA」の制作に向けて取り組みます。監督は「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」を手掛けた木下誠一を選任しましたが、"タイマス事変"の失敗を恐れて荒んだ生活を送っていました。

あおいは"SIVA"の制作に監督がいなければ作品が成り立たないと問いかけると承諾します。脚本はタイマスに携わっていたシナリオライターの舞茸しめじに決まります。

メカニックデザイナー作画監督の遠藤亮介に頼もうとしましたが、タイマスに入れ込んでいたこともあり、制作中止と聞いてムサニから立ち去って以来、消息が掴めませんでした。それでもあおいは、作画監督の井口祐未と原画の小笠原綸子を「空中強襲揚陸艦SIVA」のスタッフに招き入れることに成功します。

遠藤は妻麻佑美に仕事を任せっぱなしで体たらくな生活をしていると、ゲームセンターでアニメーターの瀬川美里と遭遇します。瀬川は遠藤に妻に働かせることを忠告して「ちゃんと働きなさいよ」と一喝するのでした。

下柳は遠藤を説得すべく代理オファーとして、タコの写真を撮るため水族館に来ていました。下柳は遠藤にアニメーターとして参加するよう迫るも「俺がやりたいのはタイマスだ」と断ります。下柳は「お前が"SIVA"をするならめっちゃ動かしてやる」と提案書を渡して去ります。遠藤は妻の助言もあり、「空中強襲揚陸艦SIVA」の制作に参加を決意します。

ムサニでは原画の安藤つばきと木佐光秀も合流し、作画監督として安原絵麻が名乗りを上げます。

 声優の坂木しずかは、マネージャーに「受けてみたいアニメのオーディションがある」と話すと「顔出しで売れているが声優は未知数」と心配されますが、「それでもやってみたい」と意見を譲りませんでした。

3Dクリエイターの藤堂美沙は上司にチーフアニメーターに任命されます。

ムサニにベテランアニメーターの杉江茂が訪れて、10月12日に行われる"杉Gのアニメ教室"のサポートメンバーを探していると話します。

木下は杉江に空を翔けるペガサスを描いてほしいと依頼すると同意します。

舞茸は「"SIVA"にアルテはいらない」と脚本を悩んでいました。さらに遠藤と美沙の揚陸艦のCGとのニュアンスが違うトラブルも発生します。

オーディションでは舞茸らがアルテの声優を選考しますが、声が合わないと苦悶の表情を浮かべるばかりでした。しずかがルーシー役のオーディションをしていると舞茸は「アルテもやってもらっていいですか」と頼みます。

その声を聞いた舞茸は何かを感じ取ったのか仕事に戻り、脚本家の今井みどりに協力を仰ぐのでした。

そして、「空中強襲揚陸艦SIVA」の決定稿が"勝利で終わるのではなく敗者で終わる"結末に決まります。舞茸はみどりのアイデアで完成したと褒め称えるのでした。

ある日、木下が牢屋で絵コンテを書いていると隙を見て逃走しますが、父親の看病が落ち着いて実家から帰ってきた制作進行の矢野エリカと遭遇します。

ムサニのスタッフは木下に犬のセイラの写真を見せたり、好物であるモンブランや唐揚げをチラつかせても膠着状態でしたが、矢野が「監督はやればできる子だって」と褒めると作業を再開します。

残りは演出1人だけでしたが、矢野が釣りをしていた演出家の池谷ひろしを強制連行して従わせます。

"杉Gのアニメ教室"の当日、あおいたちはアニメーションの素晴らしさを教えるため、子供たちに絵を描かせて、それを動画にして声を当てます。すると子供たちは自分の絵が動いている様子に驚くのでした。

そして、しずかの元に「空中強襲揚陸艦SIVA」のアテル役に決まります。

「空中強襲揚陸艦SIVA」の作業が順調に進む中、更なるトラブルが発生します。それは三崎がムサニで"SIVA"のアニメ制作を知り、「勝手にタイトルを使うな」と因縁をつけてきました。

三崎は上映先止めを要求しますが、条件として共同制作なら公開していいと迫ります。つまり、それは"SIVA"の利益が"ムサニ"から"げ~ぺ~う~"に奪われることを意味していました。

あおいは"タイマス事変"のトラウマと"SIVA"の上映先止め要求の板挟みで嘆いていると、ロロにプロディーサーが大切にしなければならないものを聞かれます。あおいは作品を完成させてお客さんに見てもらうが必要であると気付くのでした。

あおいは宮井と「げ~ぺ~う~」に乗り込み、三崎に契約書を見せて印鑑を押す前の契約は無効だと主張しますが、公的に劇場版が発表されていること、絵コンテが使用されていることを挙げて権利があると対抗します。

宮井は2017年の議事録からウエスタンエンターテイメントがげ~ぺ~う~に原画を発注したにも拘わらず、2年経っても絵コンテを提供していないことが規定に違反してると言い返します。さらに葛城と会話していたICレコーダーを差し出しながら、あおいは「戦うなら裁判で」と応酬すると三崎は"SIVA"の権利を放棄するのでした。

公開の3週間前にダビングが終了しましたが、木下は作品に納得していませんでした。

納期が迫る中、渡辺はそのまま公開するか作り直すかあおいに問うと後者を選びます。木下は「もう完成しないのはもう嫌なんだ」と慄いていましたが、物足りない感はあったとあおいの意見に賛同します。

そして、ムサニのスタッフが見守る中で「空中強襲揚陸艦SIVA」は劇場公開されるのでした。

以上、劇場版「SHIROBAKO」のネタバレでした。