映画「決算!忠臣蔵」の感想とネタバレ

映画「決算!忠臣蔵」鑑賞終了。

 

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この映画は赤穂浪士が吉良邸に討ち入りよりも、忠臣蔵をお金の流れを描いた作品なの

で、赤穂事件を重視して見たい人には厳しいかもしれません。

江戸時代の物価の価格を現代の価値に換金して、ストーリーを進めていくのは高評化。

ただ、映画「引っ越し大名!」や「超高速!参勤交代」と比べると剣戟シーンが少な

いのが低評価でした。

 

映画「決算!忠臣蔵」の主な登場人物

大石内蔵助(堤真一)

赤穂藩・国家老(筆頭家老)。家禄は1500石。

矢頭長助(岡村隆史)

赤穂藩・勘定方。家禄は20石。

大高源五(濱田岳)

赤穂藩・繕番元方、腰元方、金奉行。家禄は20石5扶持。

不破数右衛門(横山裕)

赤穂浪士藩で、馬廻・浜辺奉行として100石があった。

堀部安兵衛(荒川良々)

赤穂藩馬廻、御使番。家禄は200石。

菅谷半之丞(妻夫木聡)

赤穂藩馬廻、代官。家禄は100石。

奥野将監(大地康雄)

赤穂藩・番頭。家禄は1000石。

吉田忠左衛門(西村まさ彦)

赤穂藩足軽頭、群代。家禄は200石。

原惣右衛門(木村祐一)

赤穂藩足軽頭。家禄は300石。

貝賀弥左衛門(小松利昌)

赤穂藩・蔵奉行。家禄2石10両3人扶持。

三村次郎左衛門(沖田裕樹)

赤穂藩・酒奉行、台所役。家禄7石2人扶持。

武林唯七(橋本良亮)

赤穂藩馬廻。家禄10両3人扶持。

間瀬久太夫(寺脇康文)

赤穂藩大目付。家禄200石。

大石主悦(鈴木福)

大石内蔵助の息子。

磯田武太夫(千葉雄大)

陸奥一関藩の藩主、田村右京大夫の家来で、徒目付。

矢頭右衛門七(鈴鹿央士)

矢頭長助の息子。

おきん(荻野由佳)

江戸のそば屋「いずみや」の娘。

早川惣介(上島竜兵)

赤穂藩・物頭。家禄は350石。

進藤源四郎(近藤芳正)

赤穂藩・物頭。家禄は400石。

祐海和尚(桂文珍)

浅野家の祈願所だった、赤穂・遠林寺の住職。

前田屋茂兵衛(村上ショージ)

赤穂の塩問屋「前田屋」の主人。

戸田権左衛門(板尾創路)

大垣藩・家老。

戸田采女(滝藤賢一)

美濃の大垣藩10万石の藩主。

落合与左衛門(笹野高史)

赤穂藩瑤泉院の用人(秘書)。

大石理玖(竹内結子)

大石内蔵助の妻。元但馬豊島城主・京極甲斐守の家老・石東源五兵衛の長女。

大野九郎兵衛(西川きよし)

赤穂藩・次席家老。家禄は650石。

瑤泉院(石原さとみ)

浅野内匠頭夫人。名前は阿久里。備後三次の初代城主・浅野因幡守長治の娘で浅野長照の養女。

浅野内匠頭(阿部サダヲ)

5万3000石の赤穂藩の城主。

 

 

映画「決算!忠臣蔵」のネタバレ

この映画はそば1杯16文(=480円)を基準として始まります。

第1章:赤穂藩の御取り潰し

元禄4年、筆頭家老の大石内蔵助は火元の一報を受けて、現場に出動します。赤穂藩

主・浅野内匠頭の陣頭の指揮のもと、消防の演習が行われていました。本物の火事さな

がらに民家が壊される様子を見て唖然とします。大石は浅野に抗議するも「火事も戦。

武士たるもの、戦を忘れたらあかんで」と気圧されます。

その10年後、浅野は吉良上野介を斬りつけ、切腹を命じられます。

赤穂藩はお取り潰しとなり、浅野はお咎めなしで吉田忠左衛門が不満を漏らすと、城に

籠城するか、切腹をするか討論になります。

そこで"火消しの浅野""こと大石に助言を求めます。大石は籠城案を推進しようとしま

が、やがて全藩士切腹をすると持ち出します。だが、堀部安兵衛を中心とする推進派

切腹を反対して、吉良を討つよう主張します。大石は即刻、城を明け渡しが賢明だと

決定します。

そこに菅谷半之丞山鹿素行の教えに従って、城を閉ざして徹底抗戦をすれば、御取

り潰しが解消されるのではと提案します。しかし、城の武器は大野九朗兵衛が割賦金(=

退職金)を得るため売り払われていました。

大高源五は籠城したら退職金を貰えるかを問います。籠城した場合だと27万円、籠城し

ない場合だと128万円と給与1年分と破格の差でした。

最終的に大石は、給与面から城の明け渡しを選択します。

 

第2章:残務整理

開城後、大石の幼馴染で勘定方の矢頭長助は、次々と出てくる不透明な経費(幕府の飲食

代や買い物の勘定書き)が見つかり、更なる借金難に喘ぎます。しかも、御家再興のため

隠し持っていた余剰金が割賦金に回されます。その時、堀部安兵衛が吉良を討つと宣言

しますが、大石は一喝します。

遠林寺の住職、祐海和尚に護持院の隆光大僧正を通じて、浅野の弟・大学のによる御家

再興を嘆願依頼を行うため、江戸へ送ります(赤穂から江戸の往復旅費/87万円)。

浅野の妻、瑤泉院が塩問屋に貸し付けた化粧料(5000両)の存在が発覚します。塩問屋は

化粧料を貸付金として運用し、利子で儲けていました。大石はその一部を大石が預かり

ましたが、赤穂の塩の売れ行きに反して、回収できた利子は100石だけでした。

大石は塩問屋に乗り込み、利子を回収すると共に元赤穂奉行で元浜行奉行の現用心棒の

不破数右衛門を仲間に引き入れます。

大石は赤穂から京の山科に隠棲し、御家再興総資産9491万円を回収します。

 

第3章:再建

徳川綱吉の生類憐みの令により、犬や猫、鳥、魚類、貝類、昆虫類などの生物が優遇さ

れていました。

世間では赤穂浪士が吉良を討つのではないかと噂が飛び交い、大石は真意を探るべく赤

穂浪士の江戸詰めである武林唯七(13泊分の旅費と江戸の滞在費/331万円)と堀部安兵衛

(14泊分の旅費と江戸の滞在費/233万円)を派遣しますが、豪遊するばかりでした。業を

煮やした大石(13泊分の旅費と江戸の滞在費/385万円)は江戸へ赴きますが、ほとんどの

赤穂浪人は割賦金を江戸の物価の高さと遊郭などで使い切っていました。そこで大石は

75両(=900万円)を渡しました。

大石は瑤泉院に呼び出され、瑤泉院は化粧料がよからぬことに使われているのではない

と疑問視します。大石は御家再興の準備金として残していると誤魔化します。

瑤泉院は大石に亡き浅野内匠頭の新しい墓所の建立に山を購入しなければならないと知

り、仏事費用を含めて1518万円を

不和は大石を呼び出し、朽ち果てた屋敷を75両(=900万円)で購入します。

ある日、大石のところに矢頭長助と息子、矢頭右衛門七が訪れます。長助は見積もりを

拝見し、経費の無駄使いに呆れ果てます。そして、大石を木偶の坊と揶揄するのでし

た。大石は自分を戒めるため家族と離縁します。

元禄15年3月14日、亡き浅野内匠頭の供養が行われます。

大石は御家再興に更なる御家再興の資金(291万円)と江戸の赤穂浪人を説得する費用

(1200万円)を捻出します。

その一方で既に吉良が隠居しており、手が出せない状態になっていました。

 

第4章:代償

江戸では大石が家族を捨ててまで吉良の討ち入りを考えていると赤穂浪人の間で噂が流

れます。

長助たちは大石に吉良の討ち入りの意思がないことを証明するため、大石を自腹で京・

伏見の遊郭へ通わせて、御家再興の道を探っていました。

すると瑤泉院に大石が遊郭通いしていることが公になり、激怒します。

大石は遊郭で贅沢三昧しているうちに引っ越し代及び家族旅行費(60万円)、関節痛の治

療費(120万円)、江戸組の生活追加分(138万円)、急病人の朝鮮人参代(6万円)と大盤振る

舞いします。

そんなある日、祐海和尚が江戸に行っていないことが判明します。大石が問いただすと

浅野の弟・大学は広島から追放され、御家再興の道は完全に断たれます。

大石の身を案じた長助は駕籠で追いかけますが、家老・戸田権左衛門により送られた刺

客に襲われます。

保身しか頭にない身内に絶望していた大石の前に、瀕死の重傷の長助が運ばれてきます

が、息を引き取ります。長助の死と共に大石は吉良の討ち入りを決意します。

 

第5章:リストラ

大石は大垣藩采女正と権左衛門に謁見します。そこに奥野将監がいましたが、将監は

采女正と内通しており、赤穂浪士の裏切り者でした。

将監は良質の塩がとれる赤穂は手が出るほど欲しい土地で最初から手放す意思もなく、

御家再興を口実にしていました。

大石率いる赤穂浪士は吉良の討ち入りの会合(会合費/12万円)を始め、討ち入りの日時を

浅野内匠頭の3回忌の3月14日にします。

しかし、資金不足で江戸へ連れて行ける赤穂浪人はわずかで、3回忌まで持たないと判

明します。そこでリストラを敢行します。

まず、源五と弥左衛門が中心となって、足手まといになりそうな赤穂浪人を淘汰してい

きます。その結果、120人以上いた赤穂浪士は29名に減ります。

しかし、それでも吉良を討ちたい赤穂浪士が多く、勝手に元服したものもいました。そ

こでくじ引きで決めていきます。

くじ引きで外れた赤穂浪士は涙を流し、源五は「あれが本当の貧乏くじや」と呟くので

した。

 

第6章:災難

ある日、江戸で火災が発生し、一度も使用されないまま屋敷が焼失します。

そこで、大石がどこに住んでいるかを聞くと、大半の赤穂浪人は長屋で泊まっていまし

た。そこで長屋の見積もりを洗い出してみると14軒で490万円でした。

さらに屋形船のレンタル代(11万5000円)や刀を売却した赤穂浪士の刀代(12万円)を工面

したり、得意な武器で戦いたいと懇願する赤穂浪人にその武器を与えたりと予想以上に

見積もりの経費が嵩んでいきます。

 

第7章:リハーサル

元禄15年12月2日、江戸に多くの赤穂浪人が集まります。

半之丞が陣頭指揮を取り、3ヶ月後の本番に向けたリハーサルをします。

討ち入り時刻は寅の上刻(午前4時)とし、赤穂浪人は表門と裏門の二手に分かれます。

表門から梯子をかけて、吉良邸に侵入した赤穂浪人が表門を開けます。

大石は裏門にいる赤穂浪人に聞こえるようドラを叩きます。裏門は掛矢(1個1万5000円)

で破壊します。表門から侵入した赤穂浪人は100名以上いると思われる中屋敷を鎹(1個

800円)で封じて、吉良の家臣を半数に抑えます。

さらに灯りを得るための松明や弓が得意な赤穂浪士のために弓(1セット5万2000円)を準

備します。

赤穂浪士の防具として白の寝間着の案が出ますが、吉良の家臣も白の寝間着を着用して

いる恐れがあり、敵と味方の区別ができないと却下されます。

その時、堀部が「赤だ」と発言します。半之丞は赤穂の"赤"と縁起が良いと採用し、赤

い着物(全員分で414万円)と火消し装束で討ち入る案が出ます。

戦法は一向二裏(※1)で、ある赤穂浪人は、最初に斬りかかる赤穂浪士に着込みと鎖帷子

(1人18万円)が必要だと提案します。しかし、作戦が失敗した時のため全員(828万円)が

付けるべきと異論を唱えるもの、手甲や脛当てを全員にフル装備(966万円)させたほうが

安全だと言うものもおり、話が纏まりませんでした。

さらに誰が吉良を見つけるか判らないので、全員分の呼子笛を用意すべきだと言うもの

と、もはや予算オーバーは確定的でした。

その時、源五が現れ、吉良の屋敷にいる日にちが今月の14日だと判明します。奇しくも

それは主君の命日で大石もその日に吉良を討ちに行くと決意します。

 

※1:山鹿流兵法の作戦で斬り合いで3人一組で敵ひとりを相手にして、ひとりが敵と正

面から向かい合っている隙に、背後から残りのふたりが斬りかかる戦法

 

最終章:決算完了

大石は決済算を持って瑤泉院に行くも、小目通り叶わず帰ります。大石の帰宅後、用人

の落合が確かめると手形や決算書、城の地図がありましたが、金銭は残っていませんで

した。ところが小箱から100両が出てきます。

元禄15年12月14日、大石ら赤穂浪士たちは吉良邸の討ち入りを実行し、幕府の命令によ

切腹します。

15歳以上の男子は島流し、15歳以下の男子は親類に預けられたあと、15歳になると島流

しの処分を受けます。大石は100両を助命嘆願に使うよう書き残します。

島流しにあった男子はわずか3年で赦され、全ては大石の筋書き通りで終わるのでし

た。

 

以上、映画「決算!忠臣蔵」のネタバレでした。